消防士が不動産投資で管理手数料を抑えるコツ

消防士が副業として不動産投資をする場合、物件の管理業務は管理会社に委託することが原則になります。

つまり、自分で管理をして管理費を抑えるという手法が採れないため、管理会社に支払う管理手数料は、長い目で見ると収益に大きな影響を与えます。

そこで、本記事では、消防士の不動産投資における管理会社選びのポイントや管理手数料を抑えるコツについて解説します。

消防士の不動産投資において管理会社選びが重要な理由

そもそも、消防士の不動産投資に限らず、一般的に不動産投資において管理会社は良きパートナーとなってくれる存在です。管理会社は、不動産投資において大切になる、以下のようなことを専門に担ってくれるためです。

・投資物件の設備や外見の維持、保全
・入居者トラブルへの対応
・家賃の確実な回収
・空室発生時のスムーズな新入居者獲得

質の高い管理会社は、上記の点にしっかりと対応することで、投資不動産の資産価値を維持し、投資の収益性向上に貢献してくれるのです。

消防士は投資不動産の「自主管理」ができない

消防士の不動産投資においては、とくに管理会社との付き合いの重要性が高まります。それは、信用失墜行為禁止や職務専念義務が定められている公務員には、副業として不動産投資をする場合、次の制約があるためです。

①すべての管理を管理会社に任せる必要がある
②不動産投資の規模が5棟10室未満、家賃年収が500万円以内という目安がある

①の点に関して、「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)に運用について」を素直に解釈すると、消防士の副業としての不動産投資は「本業に支障をきたさない」ように行う必要があります。

自分で管理業務を行う「自主管理」をしていると、この規則に反する危険性が高いでしょう。そのため、管理業務はすべて管理会社に任せることが、消防士の副業としての不動産投資のセオリーです。

また、規則は別としても、不規則な仕事で激務をこなす消防士が、自分で細かな管理業を行うことは現実的にも困難です。

つまり、必ず管理会社に管理業務を任せなければならないため、その管理費用は、絶対に発生するコストとなるのです。

良い管理会社を見分けるポイント

消防士の不動産投資においては、質が高く、かつ適正な管理会社を選ぶことがとりわけ重要です。では、具体的にはどうやってそういう管理会社を探せばいいのでしょうか。

次のポイントに着目して管理会社を比較するといいでしょう。

自分が投資するエリアでの管理実績

まず、自分が不動産投資を計画している物件が立地するエリアでの、管理会社の管理実績を確認します。

町にはそれぞれ、独自の性格や地域性があります。たとえば、住宅街か、商店街か、ビジネス街か、高級地か下町か、などです。また、海の近くと山沿いなど、気候の違いもあります。それらの違いにより、物件管理の勘所は異なるため、その地域で手広く管理を手がける会社が適しています。さらに、地域での実績が多い管理会社は、地域の「大家コミュニティ」からの信頼が厚いということであり、管理の質が高いと予測されます。

さらに、既存の管理物件の入居率も調べましょう。当然ながら、入居率が高い会社の方が、空室期間を短く抑えてくれことが期待できます。

業務範囲や提携範囲が広い

すべての不動産管理を任せなければならないことから、一社で多くの業務をこなす管理会社に依頼した方が効率的です。

通常の物件管理に加えて、入居の仲介を得意としていれば、空室発生時もスムーズに次の入居者が決まるでしょう。物件の販売も手がけていれば、将来物件を売却するときも頼りになります。また、腕が良く費用が適正な修理業者やリフォーム業者とのネットワークを持つこともポイントです。

保証会社とも提携していれば、家賃が未収になるリスクを低減できます。

担当者の仕事ぶりが適切

入居者トラブルへの対応など、大家と管理会社とは頻繁にコミュニケーションを取る必要があります。そのため、担当者の仕事ぶりはとても大切です。連絡が遅いなど、いわゆる「報・連・相」の基本ができていないような担当者にあたると、ストレスがたまりますので、しっかり見極めましょう。

消防士(公務員)の投資であることを理解している

消防士(公務員)が副業として不動産投資をする場合には様々な規制があることや、その投資目的などを、理解してくれている管理会社の方が、何かと話はしやすいでしょう。

これらの条件により、管理業務の質を見極めた上で、できればなるべく低い管理費用で任せられる管理業者を探しましょう。

管理手数料を安く抑え、収益性を高めるコツ

次に、管理手数料を抑えて、投資の収益性を高めるために着目すべきポイントについて解説します。

管理手数料の相場を踏まえて比較検討する

管理手数料は、一棟の場合で賃料の「10%」程度、マンションの区分投資の場合は「5%」もしくは月5,000円~1万円程度の定額のケースが多いでしょう。

現在では管理会社の一括見積もりサービスなどを提供するWebサイトがあります。複数社を比較して相場を知るために、まず一括見積もりサービスを使ってみるのも良いでしょう。

トータルコストで考える

比較検討する際には、管理手数料だけでなくトータルコストに着目しましょう。管理会社によっては、通常の管理委託費だけでなく、「システム使用料」や「契約更新事務手数料」などの名目で追加の手数料を請求する会社もあるので注意が必要です。

管理範囲を限定する対策は、おすすめできない

よく不動産投資の情報サイトなどには、管理手数料を減らす策として、一部の作業を自前で行って「委託範囲を減らす」という手法が紹介されています。しかし、消防士の不動産投資の場合には、原則としておすすめできません。

先に述べたように、消防士は、不動産経営に時間、手間を割くと規則違反で処分を受けるリスクがあります。数千円の利益のためのそんなリスクを取る必要はありません。管理業務はすべて管理会社に委託しましょう。

質に見合った適正な手数料を支払う

管理会社を選ぶ際、もっとも重要なのは手数料ではなく、管理の質です。なぜなら、いくら管理手数料が低くても、管理の質が低くて物件の価値が下がったり、空室期間が長くなったりしては、より大きな損失を招くためです。質の高い管理をしてもらい、その代わり、払うべき管理料は、適性に支払うという考え方が重要です。

まとめ

副業とみなされないために不動産投資の規模などに関する規定がある消防士にとっては、質が高く、手数料の割安な管理会社選びがより一層重要になります。

もちろん、管理手数料は安いに越したことはありませんが、無理な低料金を求めれば、管理の質が落ちて「安物買いの銭失い」になりかねません。管理を必ず管理会社に委託しなければならないからこそ、「質に見合う適正なコスト」という考え方で、管理会社を見極めることがポイントです。