不動産投資ローンと「個人属性」、金融機関は消防士をどう見ているか

投資用不動産の購入に際しては、不動産投資専用のローン(アパートローンなどという名称)を利用するのが一般的です。不動産投資ローンの契約をする際、金融機関は借り手の「個人属性」を重視するといわれます。

では、「個人属性」とはどのような考え方で、消防士の属性はどのように評価されているのでしょうか。また、消防士の属性の高さが不動産投資による資産形成にどのように影響するのでしょうか。これらを解説していきたいと思います。

不動産投資ローンとは?

不動産投資ローンとは、投資用不動産物件の購入資金を金融機関が融資するための融資商品です。よくある間違いは、これを「住宅ローン」と混同してしまうことです。

住宅ローンは、あくまで自宅の購入資金のための融資です。しかし、不動産投資ローンは投資用不動産購入、つまり不動産賃貸業という事業に対する融資となります。両者はまったく別の仕組みのものとなります。

まず、そもそも融資を受けられるかどうかという点でも、住宅ローンの場合は、普通の住宅を購入し、必要な書類が用意できれば、審査で断られるということは通常ありません。

一方、不動産ローンでは、投資する不動産そのものの資産性、収益性とともに「融資申込者の属性」が重要な要素となり、属性によって融資が断られることもあります。

また、融資の上限金額も、一般的に、住宅ローンの融資限度額は収入の6~7倍程度が限度だといわれます。それに対して、不動産投資ローンでは、年収の10倍以上の融資を実行しているケースも見受けられます。

少し前に「メガ大家さん」という人たちが話題になりました。個人で、何億円も融資を受けながら数十棟もの不動産を購入して賃貸経営をしている人たちです。事業に対する融資だからこそ、そのようなことも可能になるのです。

金融機関が融資に際して重視する「個人属性」とは?

では、金融機関が融資の判断をする際には、チェックしている「融資申込者の属性」とは、具体的にはどんものなのでしょうか。

金融機関はビジネスとして資金を貸すので、貸し出した資金が確実に回収できることを何よりも重視します。貸し出した資金が回収不能になる可能性が少しでもあれば、融資は見送られます。

その際の重要な判断基準となるのが、融資申込者の属性と呼ばれています。つまり、融資申込者の属性とは簡単にいえば、約束通りにお金を返してくれそうな人かどうか、ということです。一般的には、次のような項目がチェックされているといわれます。

融資申込者の属性

・勤務先の安定度(倒産しないか。給料が大きく下がらないか)
・職業上の社会的信用度(信用を重んじる職業であるか)
・これまでの勤務状況や勤続年数(長い間、まじめに働いているか)
・年収
・保有資産状況(収入に対して預金が少なすぎることはないか)
・借り入れなどの負債状況(住宅や自動車など以外で、大きな借金がないか)
・過去の信用情報(クレジットカードの延滞などがないか)

ここで、不動産投資ローンでは不動産事業に対して融資をするものであり、返済は不動産収入の中から行われるので、不動産自体の担保価値をしっかり評価すれば、融資申込者の属性はそれほど重視しなくてもよいのではないかと考えることもできます。

しかし、事業や投資には不確実性が伴います。予測できなかった事情で、一時的に不動産収入だけでは賄いきれないキャッシュアウトが必要なケースが生じるリスクもあるのです。

また、多額のお金を貸す訳ですから、万が一にもそれを放り出して逃げてしまったり、あるいはルーズな性格でいつも返済が遅れたりするようなことがあれば困ります。そういったことも、上記のような個人の属性によって判断しているのです。そして個人属性と物件自体の価値をトータルで判断して、金融機関は融資実行の判断を下すのです。

個人属性が高いと何かと有利

個人属性が高いとどうなるのでしょうか?

仮に、属性の低い人と低い人が、同じ不動産物件の購入に際して融資を申し込んだとします。すると、属性の高い人は融資を受けられるのに、低い人は断られる、という場合があります。また、もし両者とも融資を受けられるとしても、属性が高い人のほうが、融資額も多く設定されて、金利も低くなるということは当たり前のようにあります。

金融機関も商売で融資をしている訳ですから、「上客」には好条件で融資をするのです。

そもそも融資が受けられないことには、不動産投資のスタートもできません。不動産投資をする上で、金融機関からの信用力の高い「個人属性」は、大きなメリットといえるでしょう。

消防士の個人属性は非常に高評価されている

では、消防士の個人属性は金融機関からどのように評価されているのでしょうか? 結論からいえば、地方公務員は、東証一部上場企業などの大手企業に勤めるサラリーマンなどと並んで、非常に高い評価を受けます。

金融機関がもっとも好むのは「安定」であり、その意味では、倒産や整理解雇は当然なく、減給などもほとんどない地方公務員は、高い属性だと評価されます。

さらに地方公務員は、社会的な信用が重視され、地域に根付いて働く職業です。平たくいえば「地元の人から白い眼で見られるようなことはしない」と、金融機関から評価されているのです。その意味でも、金融機関が好む安定の条件にかないます。

地方公務員の中でも、独自の手当によって比較的年収が高い消防士の属性が高くなるのは当然なのです。

消防士の個人属性を下げないよう注意する

もちろん、個人属性は職業だけで判断される訳ではありません。そのため、消防士というせっかくの高い属性が得られる職業でありながら、その評価を下げてしまう行為には注意が必要です。

例えば、クレジットカードや携帯電話の支払いなどをうっかり滞納してしまうケースです。「ついうっかり」は誰でもありますが、そのとき、すぐに入金すれば問題ありません。しかし、たびたび滞納したり、長期にわたって滞納状態が続いていたりすると、信用情報、いわゆるブラックリストに記録が載ってしまうことがあります。

まとめ

地方公務員の中でも比較的収入が高い公務員は、同世代で民間会社に勤務する会社員よりも、個人属性が高いと判断されやすく、有利な条件で融資を受けられる可能性が大きくなっています。これを武器として活用し、不動産投資への一歩を踏み出すのは、賢明な選択といえるのではないでしょうか?