不動産投資を始めたい消防士が必ず確認すべき「実質利回り」とキャッシュフロー

不動産投資では、資金繰りを健全な状態に保っておかなければ長く利益を得続けることはできません。

そこで今回は、消防士が給与を得ながら不動産収入を得る際に知っておきたい「利回り」と「キャッシュフロー」について解説します。

不動産投資の広告は内容に注意する必要がある

不動産投資を扱った広告の多くは、不動産を購入した際にどの程度利益を得られるかが書かれています。しかし、そのほとんどは表面利回りが記載されている点に注意が必要です。

表面利回りとは、年間の総収入を購入金額で割った数字のことを指します。

例えば、年間収入が100万円の物件を1,000万円で購入した場合、100万÷1,000万円で表面利回りは10%となります。

広告の多くはこうした単純な表面利回りを「利回り」としてアピールしていますが、実際に手にできる利益とは大きく異なる可能性があります。

不動産投資を考える際は実質利回りを重視すべき

実質利回りは、表面利回りからさらに実際にかかる費用を差し引き、実際に手元に残る利益をもとに計算します。

不動産投資で実際に発生する費用としては、建物のメンテナンス費用や税金、保険料などが考えられます。これらの費用を考慮した場合、表面利回りと実質利回りが大きく乖離してしまうこともあります。

例えば、1,000万円の物件で年間100万円の収入があった場合、表面利回りは10%です。しかし、建物を維持するための経費が20万円かかった場合、手元に残る金額は80万円となり、実質利回りは8%となってしまうのです。

このように、一口に「利回り」と言ってもそれが表面利回りなのか実質利回りなのかによって意味が大きく異なります。投資前に利回りの予想をする際は、両者の違いを明確にしておくべきでしょう。

不動産投資にキャッシュフローが重要な理由

不動産投資では、利回りだけでなくキャッシュフローを考慮することも大切です。キャッシュフローはお金の流れを意味し、投資を安定して続けるために欠かせない要素です。

キャッシュフローは手元の運用資金確保のために重要

不動産投資ではいつでも物件が満室になるとは限りません。タイミングによっては複数の空室ができてしまうこともあり、空室はそのまま家賃収入の減少につながります。

不動産投資で収入が得られない場合、投資家は自己資金でローンの返済を行うことになります。キャッシュフローに余裕を持たせることで、いざというときにも対応できるでしょう。

また、不動産投資は物件の急な修繕や部品の交換などが発生することもあります。予測のつきにくいコストの発生に備えて、キャッシュフローには余裕を持たせる必要があります。

安定的なキャッシュフローが家計を健全化させる

キャッシュフローに余裕があると、不動産収入が不安定だったり、支出がかさんだりした場合にも、ほかの収入源で不足分を補えるため、家計を健全な状態に保てます。

消防士の場合、雇用による給与と不動産投資による収入の2つを得ることになります。消防士としての収入は安定しているため、余計な支出を抑えていれば、不動産関連の支出が増加した月でも給与で補えるでしょう。

本来、不動産関連の支出は毎月得られる物件の家賃収入などで補うことが理想です。しかし、毎月の給与をできるかぎり支出に回さず貯蓄しておくことで、いざというときに対応できるのです。

キャッシュフローの計算方法

キャッシュフローは現金、あるいは現金と同様に使える手元のお金のことです。キャッシュフローは税引き後の利益から支出を引いた金額に相当し、以下の計算式で算出可能です。

税引き後利益+減価償却費-返済額元金=キャッシュフロー

不動産などには耐用年数があり、資産価値は毎年目減りするものとされています。不動産でも毎年目減りする額を支出として計上します。減価償却費は目減りした額を概念上支出として計上しているだけで、実際には毎年支出が発生する訳ではないことにも注意しましょう。

また、税引き後利益は、決められた計算方法に従って算出され、減価償却費から差し引かれている利益です。そのため、キャッシュフローを算出するためには、便宜上減価償却費を足さなければならないのです。

計算の結果キャッシュフローが十分にあれば、突然の支出や思わぬ空室の増加にもある程度の期間対応でき、資金繰りが良い状態と言うことができます。

利回りとキャッシュフローの関係

不動産投資においては利回りとキャッシュフローどちらも大切ですが、それぞれどのように関係しているのでしょうか。

実は、「利回り」と「キャッシュフロー」の間にはあまり相関がありません。どれだけ利回りが良くても、ローンの返済期間が短い物件の場合、月々の返済額が高額になるため、キャッシュフローは悪くなってしまうのです。

つまり、利回りとキャッシュフローどちらも一定の水準を満たす物件を見つけることが重要なのです。