消防士の不動産投資は「副業禁止」に抵触しないのか?

消防士を含む公務員なら誰もが気になる「副業規定」は、投資を考える際にも脳裏をよぎる言葉でしょう。副業規定に抵触すると何らかの処分が下されるため、投資をする上でも規定の内容を正確に把握することが大切です。

そこで今回は、公務員の副業規定の内容を詳しく見ていきましょう。また、不動産投資は副業禁止規定に抵触するのかどうかについても解説します。

公務員の副業禁止規定の内容

公務員が投資を行う際に気になるのが「副業規定」です。この規定では多くの副業が禁止されており、守らないと処分を受ける可能性があります。公務員の副業が規制されているのは、以下の3つの理由によります。

1.副業や兼業を行うことによって、公務員としての信用を失う行為につながる可能性がある。

2.公務員は多くの個人情報を扱っているため、守秘義務を守れなくなる可能性がある。

3.副業や兼業を行うことによって、本業に専念できなくなる可能性がある。

このように、公務員の社会的信用や守秘義務、本業への悪影響などといった懸念から規制がかけられているのです。

不動産投資は副業に該当しないのか?

では、不動産投資はこれらの副業規定に抵触することはないのでしょうか。国家公務員の規則である「人事院規則」の中から副業規定に該当する部分を見てみましょう。

▼「人事院規則」副業規定に関する項目

3「自ら営利企業を営むこと」(以下「自営」という。)とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいう。なお、名義が他人であっても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する。

4 前項の場合における次の各号に掲げる事業の経営が当該各号に定める場合に該当するときは、当該事業の経営を自営に当たるものとして取り扱うものとする。

二 不動産又は駐車場の賃貸 次のいずれかに該当する場合

(1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合

イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。

ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。

(3)不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行っている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合

▼基準を満たし、承認を得ることで不動産投資が可能

つまり、「4棟以下」、「9室以下」、「年間賃料収入500万円未満」という基準を満たせば、規則上副業とは見なされないということになります。

また、以下に該当する場合は承認を得ることで投資を行うことが可能です。

①不動産が公務員としての取引先と関係がないこと

②管理は管理会社に委託すること

③公務員の信頼性を損なわずに行うこと

そもそも、公務員が4棟以上、9室以上の物件を購入することは現実的ではありません。そのため、資産3,000万円程度を目標とする不動産投資であれば、規定に抵触する心配はありません。

消防士が楽に不動産投資をする方法

不動産投資が副業規定に抵触しないとしても、忙しい消防士が不動産投資を続けることは可能なのでしょうか。ここでは、様々な対応が発生する不動産投資を楽に続けられる方法を解説します。

▼家賃の回収やクレーム対応は管理会社に任せる

賃貸物件のオーナー(大家)は、家賃の回収や敷地内の掃除、クレーム対応などをする必要があります。しかし、これらの業務は専門の管理会社に業務委託してしまえば、手放しでの経営が実現できます。

賃貸物件の管理でもっとも労力を使うものが入居者管理でしょう。入居者管理は入居立ち合いから家賃集金、滞納者への督促、クレーム対応などハードな業務になります。ほかにも、入居者の募集や入居審査、日々の清掃、契約更新、解約業務など、管理業務は多岐にわたります。

消防士が日中に仕事をしながらこれらの業務を行うことはほぼ不可能です。専門の管理会社に依頼すれば、管理のプロがこれらの業務をほぼすべて行ってくれるため、賃貸物件の管理に気を取られることなく、日々の業務に集中できるのです。

▼不動産管理会社への委託はコストパフォーマンスが高い

管理会社に賃貸物件の管理をお願いする際には手数料が発生します。家賃による安定した収入を目指すためには、できるだけ手数料は低く抑えたいものです。

管理会社の一般的な手数料は家賃の5〜7%程度が相場となっています。仮に月の家賃が10万円の場合、管理手数料は5,000円から7,000円程度と考えられます。

前述の通り、管理業務は非常に多岐にわたるため、月に5,000円程度で業務を代行してくれると考えれば非常にコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。

優れた管理会社の選び方

優れた管理会社を選ぶためには、毎月・毎年の収支報告書をチェックすることをオススメします。

収支報告書には家賃の回収状況や修繕の費用などが記載されているだけでなく、会社によっては「○号室の~さんが~の理由で退去します。立ち合いますか?」「○号室の~さんが犬を飼い始めました。いまのところ鳴き声などのクレームはありません」などの入居者の変化を細かく報告している会社も見られます。

このような細かい報告を怠らない会社は信頼できると言えるでしょう。

また、優れた管理会社であれば、入居者のより良い住環境のためにリフォームや防犯設備の設置などの提案を欠かしません。

ほかにも、管理物件1,000戸程度の実績や、仲介専門の不動産会社とのコネクションなども有料管理会社の条件となります。これらの条件を念頭に置き、ほったらかしにしていても様々なサポートをしてくれる管理会社を選んでいきましょう。