消防士も一生安泰ではない?退職や転職傾向を知って備える

消防士は公務員の中でも離職率が高く、4人に1人以上が定年を待たずに普通退職しています。

そこで今回は、消防士の退職理由や転職事情、いざというときのための投資の重要性を解説していきます。

消防士の退職に関する実態

消防士はほかの公務員に比べ、若い世代が退職する傾向が見られます。総務省の調査をもとに、消防士の退職の実態について見ていきましょう。

消防士の4人に1人は定年を待たずに退職している

総務省の「令和元年年度地方公務員の退職状況等調査」によると、2019年の地方公務員の退職者は12万8,869人でした。そのうち定年退職者は7万207人となり、退職者の半数以上を占めます。

消防士について見てみると、2019年度の退職者は5,028人、そのうち定年退職者は3,274人となっており、定年退職者の割合は65%を超えています。一方で、普通退職は1,328人(26.4%)、勧奨退職が199人(4.0%)、早期退職が98人(1.9%)となっており、退職者の4人に1人以上は定年を待たずに退職していることが分かります。

若い世代が辞めていく消防士

同調査では、世代ごとの普通退職者の内訳も見ることができます。

調査によると、消防士全体の普通退職者のうち25歳未満は34.2%、25歳以上30歳未満が31.2%、30歳以上35歳未満が11.8%となっており、普通退職社の75%以上は35歳未満であることが分かります。

一般行政職など他の公務員は、普通退職者のうち35歳未満がおよそ50%程度です。つまり、ほかの公務員と比べると、比較的若い世代が転職を考える傾向があることが、消防士の特徴だといえます。

消防士の転職事情

比較的若い世代の退職が多い消防士ですが、転職は決して容易ではありません。そもそも民間企業は公務員に対して「指示がないと動けない」「営業経験がない」などの見方をしているところが多いのです。

最近では市役所の職員などが民間のマナー研修を受講し、接客力の向上をはかっている例もありますが、消防士でこのような取り組みはあまり見られません。

民間企業では、新卒採用者が最初に研修で教えられる、電話の受け答えや名刺交換、接客対応などの必須スキルでさえ消防士のうちは必要ないため、働きながら身に付けることも困難です。

さらに消防士とは異なり、民間企業では年功序列の考え方はなくなりつつあります。これらの動きに対応できなければ、たとえ転職できたとしても長く続けることは難しいかも知れません。

転職を考えるならある程度蓄えも必要

これまで見てきたように、消防士は決して定年まで安泰という訳ではありません。若くして転職を考えるなら、それなりの蓄えも必要です。

一般的に、転職をする際に必要な蓄えは最低4カ月分の生活費と言われています。自己都合による退職の場合、失業手当を受け取るまでに3カ月の給付制限があり、ハローワークでの手続きから口座入金までに4カ月程度かかるからです。

さらに、消防士の場合は就職活動が長期化する可能性もあります。

これらを踏まえると、最低でも半年以上、できれば1年くらいは働かなくても暮らしていける生活費を用意してから退職する方が無難でしょう。蓄えがあれば、それだけ余裕をもって就職活動に打ち込めます。

いざというときのために日頃から金融リテラシーを身に付けておく

消防士は退職リスクや怪我、病気のリスクがほかの公務員よりも高いため、いざというときのためにお金を用意しておく必要があります。

そこで必要なのが金融リテラシーです。若手時代は家計管理や生活設計に取り組み、生活面や経済面での自立をめざします。

徐々に金融商品の知識を身に付け、どうしたらお金を増やせるのか、適切に管理できるのか学んでいきましょう。

多くの消防士は日々の忙しさに振り回され、若手時代に金融リテラシーを身に付けずに年齢を重ねます。そうすると、いざ転職や人生の転機が訪れたとき、お金を理由に最善の判断ができないことがあるのです。

不動産投資は消防士のキャリア選択を広げてくれる

若手消防士は必ずしも定年退職まで勤め上げたいと考えている人ばかりではありません。仕事をしているうちにほかの業界にチャレンジしてみたいと思う人もいるでしょう。このようなキャリアチェンジに向けて早期から行っておきたいのが「投資」です。

投資による資産形成は、国債や株式、FX、仮想通貨などさまざまな種類がありますが、消防士にとくにオススメしたいのが不動産投資です。

消防士は金融機関からの評価が高いため、同じ年収の別業種以上に融資を受けることができます。好条件で融資を受けたら、物件を選定し、管理会社に運営を委託することで、手放しで家賃収入を得ることができるのです。

比較的若いうちに不動産投資を始めておけば、いざ消防士を退職したいと思ったときに家賃収入で生活費を補うことができるでしょう。

給与以外の収入が毎月確実に発生することで、お金が必要なキャリアチェンジの場面で選択肢を広げてくれるのです。