消防士が身に付けるべき金融リテラシーとは?投資前に準備しておくこと

消防士として活躍する人の多くは、公務員として安定した雇用や給与が保証されているため、金融リテラシーを身に付ける必要がないと思っているようです。しかし、退職金や年金が目減りし、今後の経済の停滞により給与も減少することが考えられる現在では、消防士だからといって必ずしも安泰とは言えないのが現実です。

そこで今回は、消防士が身に付けるべき金融リテラシーについて具体的に解説していきます。

消防士が金融知識を身に付けるべき理由

消防士は公務員であり、安定した収入があるため、一見金融知識がなくてもいいように思えます。しかし、最近では年金や収入が減少傾向にあることから、消防士と言えども、仕事の収入だけでは老後資金を十分に用意できない場合があります。

また、消防士は高額な生命保険への加入など、無駄遣いをしている可能性が高い職業です。金融リテラシーを身に付けることで、これらの支出を削減し、より効率的なお金の使い方ができるようになるでしょう。

▼これから年収や退職金、年金は下がり続ける

消防士の年収は安定しているものの、今後減少していくことが考えられます。

そのもっとも大きな原因は、日本の人口減少にあります。国立社会保障・人口問題研究所によると、2015年に約1億2,700万人いた日本の人口は、2045年に1億500万人程度まで減少すると推計されています。

国の経済力は人口にほぼ比例するため、このまま人口減少が続けば国内の経済も縮小していくでしょう。

経済が低迷すれば、民間の給与も下がり、それに連動する形で公務員の給与も下がります。これは退職金や年金も同様です。

このように「公務員だから」「消防士だから」といって、決して一生安泰という訳ではありません。将来の給与や年金の減少に備え、若いうちから資産形成をしておく必要があるのです。

▼消防士は生命保険の支出が多い

消防士は地方公務員の中でも給与が高めですが、生命保険の保険料を払い過ぎている傾向にあります。

理由の1つは、お付き合いで保険に加入するケースが多いことです。

各消防署には指定業者として生命保険会社が登録されており、日常的に営業活動が行われています。消防士は安定した収入があり、危険を伴う仕事であることから、生命保険の営業担当にとっては優先順位の高いターゲットとされます。同僚や先輩から加入を頼まれると断り切れず、必要以上に高額な保険料を払うケースが見られるのです。

理由の2つ目は、複数の保険に加入しているケースがあることです。保険営業担当者は、ライフステージごとに必要な保険を提案し、複数の保険に加入させようとします。この結果、毎月の保険料の支出が高額になってしまうのです。

消防士に金融リテラシーがあれば、これらの支出が本当に必要かどうか判断できるでしょう。もし不要な支出があれば、その分を資産形成に回すことも可能です。

▼消防士は休日に出費してしまう

また、消防士は一般的な公務員に比べて休日が多いため、出勤日の疲れやストレスを解消するためについつい無駄な出費をしてしまいがちです。

しかし、出費が多ければそれだけ将来に蓄えておくべき資金が目減りしてしまいます。金融リテラシーを身に付けることで、休日など時間があるときにどのようなお金の使い方をすればいいのか理解できるでしょう。

消防士が身に付けるべき金融リテラシーとは?

金融庁はかねてより「金融経済教育研究会」を設置し、今後の金融経済教育のあり方について検討を重ねてきました。そして、「最低限身に付けるべき金融リテラシー(お金の知恵・判断力)」の項目別・年齢層別スタンダード」を、「金融リテラシー・マップ」としてまとめています。(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy/

ここでは、「家計管理」「生活設計」「金融知識」「外部の知見の適切な活用」の4分野についてそれぞれ見ていきましょう。

▼若手社会人が身に着けるべき金融リテラシー

若手社会人は、生活面、経済面で自立する時期です。若手社会人時代から以下のような知識を身に付けておけば、手元資金が少額でも経験を通じて資産形成のノウハウが蓄積されるでしょう。

家計管理

独立した家計の担い手として支出を計画的に行える管理能力を養いましょう。趣味や自己投資を計画的に行い、家計収支のバランスを取るように心がけましょう。

生活設計

職業のライフプランを考え、各ライフステージでどの程度お金が必要かを確認しておきましょう。消防士としての昇進や昇給、退職後の再任用制度の利用など、自分のライフプランから逆算した支出を検討するといいでしょう。

金融知識

若手社会人時代に金融商品の特性や慎重な契約、悪徳商法へのリテラシーなどについて知っておく必要があります。これらの金融知識を身に付けておくことにより、貯蓄が増える30代以降に適切な投資ができるようになります。

外部の知見の適切な活用

金融商品の利用の是非を判断する際、どこに相談するべきか、しっかり理解しておく必要があります。

▼一般社会人が身に着けるべき金融リテラシー

一般社会人は、社会人として自立し、本格的な責任を負う時期です。若手社会人時代より給与も増えますが、一方で家族を持つなど支出が増える時期でもあります。子どもの教育費やマイホームの購入など、大きな支出を考えるタイミングもこの時期です。

家計管理

家計を主として支える立場から、家計の収支を家計簿などで管理し、状況によって改善する能力が必要です。教育ローンや住宅・車のローンなども増える時期であるため、資産と負債は適切に把握しておく必要があります。

生活設計

保有資産の見直し検討や、自分の老後を見据えたライフプランの実現に取り組んでいくことが必要です。あわせて、自分だけでなく、家庭内で子どもの金融教育に取り組むなど、親としての責任も発生します。

金融知識

金融知識においては、金融商品の価値を見極めたり、他の金融商品と比較検討するなど、資産形成に向けたリテラシーを身に着けておくべきです。

外部の知見の適切な活用

外部の知見を取り入れる際は、中立な立場から金融商品に関して相談できるパートナーを見つけておきましょう。信頼できる機関があれば、資産が一時的に目減りしたときなど、いざというときにすぐ相談することができます。

金融リテラシーを身に付ければ経済的な豊かさを得られる

以上のように、お金がお金を生む仕組みを理解・実践することで、経済的な豊かさを享受することができます。

当面は安定した収入が期待できるからと言って金融リテラシーを身に付けずにいると、何が重要な支出なのか理解しないまま、老後に取っておくべき資金を浪費してしまうかも知れません。収入や年金が先細りを見せる中、消防士も資産形成について真剣に考えるべきなのです。

公務員は良い意味で安定した職業と言えますが、逆に言えば将来の収入はある程度の範囲で確定しており、どんなに仕事を頑張ったとしても大きく収入が増えることはありません。

だからこそ、消防士は早いうちから金融リテラシーを身に付けるべきだと言えるのです。