消防士はそのほかの公務員に比べて給与が高く設定されており、経済的に余裕のある生活を送ることができます。
しかしその反面、消防士のキャリアにはケガや不規則な生活、出世などにおいてリスクがあるため、いざというときに備えてある程度の資金を蓄えておく必要があります。
そこで今回は、消防士のキャリアにおけるリスクとは何かを考えるとともに、それらのリスクに備えるためにどのような対策を取ればいいのかについて解説していきます。
消防士のキャリアにおけるリスク
消防士は安定した収入や雇用を得られますが、以下に挙げるような一定のリスクも抱えています。
①怪我をするリスク
②不規則な生活によるリスク
③出世ルートから外れるリスク
④休みが多いというリスク
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
▼怪我をするリスク
消防士の仕事が一般的な仕事に比べて危険なことは言うまでもないでしょう。火災現場で人を救出することや足場の悪い現場で消火作業をすることは、常に怪我をするリスクと隣り合わせです。
毎年公表されている消防庁の消防白書によると、2019年の消防士の負傷者数は1,260人となっており、全国の消防士約16万人の0.75%、毎年100人に1人程度は怪我をしていることになります。毎年殉職する消防士もおり、常に命の危険と向き合っている職業と言えます。
また、消防士が怪我をするリスクは火災現場だけではありません。日常的に行われる火災を想定した厳しい訓練の際も、大きな怪我をするリスクは常に付きまとっています。
これらのストレスから仕事を辞める消防士も少なくないのが現状です。
▼不規則な生活によるリスク
消防士特有の問題として、不規則な生活を強いられることによる様々なリスクが挙げられます。
多くの消防士の勤務スケジュールは、24時間働いて2日休む3部交代制となっています。このスケジュールには土日祝日は関係がないため、世間の動きと大きなズレが生じることになります。
配偶者や子どもは昼間職場や学校で過ごすため、消防士はどうしても家庭内のすれ違いが生まれてしまうのです。これにより、家族や夫婦間でのトラブルが頻発する家庭もあります。
また、不規則な生活を続けていると身体に負担がかかるため、病気の原因になることもあります。共同生活と家庭生活の往来の中で精神的なバランスが崩れ、退職や休職を余儀なくされる消防士もいるのです。
▼出世ルートから外れるリスク
消防士は公務員のため、出世に関してもある程度年功序列の性質が強く残っています。
多くの消防士は真面目に任務を行い、各段階の試験合格をめざします。しかし、現実は強固に守られた年功序列制度により、役職者の枠を実力主義で勝ち取ることが難しくなっています。
最初の階級である消防士の場合、年収は大体300万円前後に抑えられています。昇任を繰り返し現場の最高責任者・大隊長である消防司令になれば600万円前後の給与が得られますが、実際は役職者のポストが埋まってしまい、現在ではなかなか昇任は見込めません。
当初思い描いていた昇任のステップを上手く踏めなくなってしまうと、ライフプラン全体が崩れ、すでに組んでしまった家や車のローン、子どもの教育ローンなどの支払い負担が重くのしかかってくるリスクがあります。
出世を前提とした将来設計をすることに無理が生じてきているのです。
▼休みが多いという思わぬリスク
消防士は不規則な生活であるものの、一般的な仕事に比べて休みが多いという特徴があります。これは働く上でのメリットのように見えますが、実は大きな落とし穴となることがあります。
消防士は厳しい訓練や同僚たちとの共同生活、危険な現場での消火活動などを通じ、大きなストレスにさらされることになります。そのため、休日に浪費をしてしまうリスクが大きいのです。
消防士の休日は土日や祝日などとは関係がないため、一般企業につとめる配偶者や友人とは休みが合わないことが多々あります。その結果、ゴルフや競馬、パチンコなどのギャンブルにお金を費やす消防士も多く見受けられます。
また、中には自身のスキルアップのため、自腹で研修を受ける消防士もいます。例えば、ロープを使用した組織的レスキュー活動の際に必要な知識や技術は、特定のプログラムで学ぶことができます。
このような研修を受講するには大体5~6万円の費用が必要になり、毎月の支払いを圧迫することになるのです。
昇任(昇給)が期待できなくなった昨今、これらの出費は消防士の資産を目減りさせる要因となっています。
消防士のキャリアにおけるリスクに備えるには?
これまで見てきたように、消防士のキャリアにおいては様々なリスクが伴います。これらのリスクに対処するためには、資産形成が重要な鍵となるでしょう。
▼消防士は資産形成でリスクに対処する
消防士は怪我や病気、間違った浪費などにより、経済的なダメージを受けるリスクが高い職業です。これらのリスクに対処するためには、若いうちから資産形成をしておくことが肝心です。
資産形成は株式投資や不動産投資など様々な種類がありますが、消防士であれば安定した給与を活かして中長期的なリターンが得られるような投資手法を選ぶべきです。長期にわたって不労所得が得られるようになれば、老後資金の準備だけでなく、いざというときの資金繰りを工面することも可能です。
消防士の資産形成には、とくに不動産投資がおすすめです。不動産投資であれば、消防士の高い信頼性を活かして多くの融資を得ることができます。例え役職がない若手の消防士であっても、自分の年収の何倍もの物件に投資することができるのです。
▼資産形成をしないことによる機会損失は思いのほか大きい
資産形成はできるだけ早いうちから行っておく方が大きなリターンが期待できます。株式による長期投資では、長期にわたって配当金を得ることで、定期的な収入を得られます。
不動産投資は投資後当面の間ローンの支払いがあるため、ローンを完済し不動産収入をそのまま得られるようになるのは数十年先となります。40代、50代と老後が迫ってきてから投資を行ってもタイミングが遅過ぎるかも知れません。
また、資産形成をしていくと投資を通じて金融リテラシーの向上が期待できます。株式投資であれば企業の決算や世界経済の動向、不動産投資であれば地域の不動産相場などに詳しくなり、ほかの投資をする際にも役に立つスキルを身に付けることができます。
若いうちから資産形成を通じて金融リテラシーを身に付けておけば、投資のチャンスを逃すことなく、将来的な利益を得るチャンスも増えるでしょう。
このように、若いうちから資産形成を行っておくメリットは思いのほか大きいものです。言い換えれば、20代30代のうちに何も資産形成をせずに過ごしてしまうと、知らず知らずのうちに大きな機会損失をしていることになるのです。
消防士は自分と家族を守るために資産形成を
これまで見てきたように、消防士はキャリアにおいて多くのリスクと付き合わなければなりません。自分が家族を支えている場合、自分に何が起きても良いように家族を支えるだけの資産を残しておく必要があります。
また、消防士のキャリアにおけるリスクは怪我や病気だけでなく、生活リズムの違いや休日の浪費などからも生じます。家族構成の変化や思わぬ出費などに備え、本業とは別のルートから安定した収入を得られる仕組み作りが重要です。
資産形成は決して一朝一夕でできるものではありません。健康なうちから投資を行い、消防士特有のリスクに備えておくことをおすすめします。