生命保険だけで安心?<消防士編>自分と家族のための資産形成

消防士の仕事には危険が伴うため、多くの人が生命保険に加入しています。しかし、生命保険が保障する内容は必ずしも負担に見合ったものとは限りません。

今回は、消防士が生命保険に加入するコストやリスクをご紹介するとともに、消防士が資産形成を行う上で必要な知識について解説していきます。

消防士は必要以上の保険に加入しがち

現在30歳前後の若手公務員は、先輩たちに比べて年金に期待できなくなっています。そのため、豊かな老後を送るためには計画的な資産形成が必要不可欠です。

ところが多くの消防士は、本来は貯蓄に回せるお金があるにもかかわらず、必要以上の生命保険料に加入してしまっているために、十分に資産形成ができていないのが現状です。

消防士が多くの生命保険料を支払っている原因の1つは、不要な保険に複数加入していることです。過剰な保障を見直すだけで、月々の負担を減らし、資産形成を加速させられる可能性は高まります。

消防士にありがちな生命保険の加入パターン

消防士は公務員として安定した収入や雇用環境にあることから、生命保険の営業担当はライフステージに合わせて様々な保険商品を勧めてきます。

消防士が必要ない生命保険に加入してしまうパターンは以下の通りです。

▼複数の保障メニューに加入してしまう

生命保険の営業担当者は、その時々のライフステージに合わせて保険商品を勧めてきます。

例えば、結婚前の若い消防士の場合、本人が死亡した後にお金が必要な配偶者がいないため、入院のみを対象とする医療保険を勧めてきます。一方で、結婚後は配偶者も含めて2人分、死亡保障付きの生命保険に加入することを提案してくるでしょう。

また子どもがいる場合は、がん保険や学資保険、介護保障保険などのメニューも営業対象となります。消防士が危険な仕事であることを鑑み、傷害保険もセットにしてくることも考えられます。

こうした複数の保険をセットで加入してしまうと、毎月10万円近くの負担が発生してしまうこともあります。家庭における生命保険料の平均支払額は3万2,000円ですから、一般家庭よりもかなり多い額と言えます。(出所:平成30年度 生命保険に関する全国実態調査

▼「定期保険」の満期後の再契約には注意が必要

家族がいる消防士であれば、死亡保険に加入している人も多いはずです。若い消防士は収入が少ないため、できるだけ保険料を安くしたいと営業担当に相談すると、担当者は定期保険を勧めてきます。

この定期保険は掛け捨てとなる代わりに毎月の保険料が安くなるため、短期的には毎月の支払いを抑えることができます。

しかし、定期保険は満期後に契約を更新すると保険料が大幅に上がってしまう仕組みになっています。そのため、なにも考えずに契約を更新すると、知らない間に多くの負担を強いられる結果になってしまうのです。

生命保険は保険料に見合う保障を受けられるとは限らない

生命保険会社は様々な方法で保険に加入してもらおうと営業をかけてきます。消防士自身も危険な仕事と自覚していることから、死亡保険に加入する人も多いはずです。

しかし、生命保険会社によっては、消防士など危険な職業に就く人に対して死亡保険金や入院日額に制限をかけているケースも存在します。

サラリーマンや公務員が1億円の生命保険に加入できるとして、同じ年齢や年収の消防士は7,000万円が上限といった具合に、ほかの職業よりも保険金が小さくなってしまうのです。

この場合、たとえ多額の保険料を支払っていたとしても、それに見合った保障が受けられない可能性があるのです。

消防士にこそ必要な資産形成の知識

生命保険はいざというときに保障をしてくれるため、加入するメリットもあります。

しかし、生命保険だけではいざというときに対応できない可能性があります。急にお金が必要になるような不測の事態に備え、日頃から資産形成をしておくことが大切なのです。

▼生命保険だけではライフイベントに柔軟に対応できない

生命保険はメニューに該当する出来事が生じた場合は経済的な保障を受けることができますが、ケガや事故以外にも、お金に困るケースはあるはずです。

例えば、持ち家の劣化によるリフォーム費用です。このように、急にお金が必要になるイベントに生命保険のメニューでは対応できません。

消防士だからといって過度に生命保険の支払いをする必要はありません。とくに若い世代は、これから先細っていく年金支給額などに対応するため、資産形成について考えるべきでしょう。

▼自分と家族のための資産を蓄える

消防士は自分の身に何かがあったときは、死亡保険などで経済的な保障を受けられます。

しかし、生命保険はそれ自体が資産とはならないため、自分や家族が自由に使えるお金にはなり得ません。むしろ、自分に不測の事態が生じなければ、毎月多くの負担を強いられる「負債」でしかありません。

家族がいざというときに使えるお金を蓄えるための資産形成には、預貯金のほか、株式投資やFX、不動産投資などが挙げられます。これらの方法を活用することで、中長期的に資産を増やし、様々なライフイベントに対応することができるでしょう。

若いうちから資産形成のノウハウを学ぼう

消防士として懸命に働いても、お金を銀行口座に入れっぱなしではインフレリスクにさらされます。これらのリスクを避け、不労所得を得るためには、金融リテラシーを身に付ける必要があるのです。

金融リテラシーと一口に言っても、一朝一夕で身に付くものではありません。これらの知識は実際に資産形成をしながら少しずつ身に付けていくものです。

公務員は退職時に退職金を手にすることができますが、60歳代になってから資産形成を行っても、成果が出る頃にはさらに年齢を重ねてしまうことになります。そのため、できるだけ若い頃から投資の勉強をし、実際に株式投資や不動産投資を行うことが「安心な老後」を手に入れるための近道といえます。