消防士が投資を始める前にすべきことは何なのだろうか

「将来を考えると投資は必要だと思うけれど、何から始めればいいか分からない」と感じていませんか?

そこで今回は、投資の計画に必要な要素・資産運用のステップをそれぞれ3段階ご紹介します。併せて、先輩など身近な人を投資の相談相手として選んでしまいがちな消防士の皆さんに、投資・金融のプロをパートナーにするという方法があることにも触れていきます。

消防士が投資を始める前にするべきこと

投資はリターン、つまり収益を得るために行います。

消防士が投資を始めるにあたっては、どれくらいのリターンを狙いたいのかという計画を、事前にある程度立てておくことが重要です。

その投資計画を立てるために必要な要素は、次の3つです。

▼1.基本的な金融リテラシー

投資を始めるには、投資や金融、税金などに関する基本的な知識、つまり金融リテラシーを高める必要があります。「リテラシー」はやや難しい言葉ですが「知識、判断力」のことです。

例えば、金融庁では、一般の人が最低限身に付けるべき金融リテラシーとして、以下のようなリーフレットにまとめています。

『最低限身に付けるべき金融リテラシー(知識・判断力)金融経済教育の意義・目的~公正で持続可能な社会の実現~』(金融庁)

▼2.長期的なライフプラン

投資の計画は長期的な視点を持つことが必要不可欠です。これは、消防士としての安定した給与を活かしながら、それに加えてどの程度の投資収益を得て、自分がどのような人生を過ごしたいのかという、ライフプランとも関係してきます。

▼3.広い視野

資産形成は広い視野を持つことも必要です。自分が知らなかったからといってその投資方法が怪しいもの、リターンの期待できないものとは限りません。新しいものにすぐに飛びつくのは危険ですが、常に好奇心を持っていろいろ調べることはチャンスを逃さないためにも重要です。

資産運用を始めるための3ステップ

次に、資産運用を始めるための3つのステップをご紹介します。

▼ステップ1.現状の総資産を把握する

まずはいま保有している資産状況について把握する必要があります。現状を把握することで、どれくらい資産を増やせば目標額に達するのかが分かります。

総資産とは貯金や現金だけでなく、例えば親からの相続で株式や投資信託などの金融資産を保有している場合などは、そういった現金化可能な資産も含めます。一方で、住宅や自動車など現金化すると生活できないものは資産に含めません。

▼ステップ2.目標額と達成時期を設定する

投資は漠然と「お金を増やしたい」と考えるよりも、「いつまでにいくらにする」といった具体的な目標がある方がモチベーションを維持できます。

目標額を設定することは、現状とのズレを認識する上でも役に立ちます。数年間運用しても目標額を下回る計算になる場合、運用方法を考え直す必要もあるでしょう。

また、「何のために資産を増やすのか」といった目的も明確化しておくべきです。例えば、「10年後に子どもを海外留学させたい」という目的を設定した場合、そこから自ずと必要な資産額が定まってくるはずです。

▼ステップ3.具体的運用方法を決定する

目標額や達成時期を設定したら、実際に運用する方法を検討しましょう。

資産の運用方法は、国債などの債券、株式、投資信託、外貨預金やFX、不動産など様々なものがあります。また、最近では仮想通貨が流行しているように、新しい分野も生まれています。どの方法が自分の目標達成に最適かよく検討する必要があります。

ポイントは、あまりにも価格の動きが激しいハイリスク・ハイリターンのものや、日中に何度も価格をチェックしたりする必要のあるものは避けた方がいいという点です。なぜなら、消防士の場合、業務が忙しく本業に差し障りがでるような投資では本末転倒だからです。できるだけ「ほったらかし」で運用益を得られる方法が最適です。

資産運用は投資のプロをパートナーに選ぶべき

金融リテラシーを身に付けることは投資を始める上で最低限必要なことですが、それでも実際の運用となると初心者の知識や経験だけでは対応が難しいことがあるのは当然のことです。

そこで、運用に際して分からないことがあるときに相談できるパートナーがいると安心です。では、どんな人が投資のパートナーとしてふさわしいのでしょうか?

▼身近な人をパートナーに選ぶ危険性

消防士は人間関係のつながりが強い職場のため、投資に関しても先輩や同僚の意見を取り入れようとする人がいます。しかし、これはあまり適切とはいえません。

なぜなら、職場の先輩や同僚は、自分で投資をしている人であったとしても、(言葉は悪いですが)「素人」であることには変わりなく、偏ったネットの情報や個人の経験だけを基にアドバイスが行われることが多いからです。

投資でたまたま上手くいった経験がある人は、「俺はこれで成功した。これをやっていれば絶対儲かる」といった独善に陥ってしまいがちです。しかし、多くの場合、それは単なる偶然で、将来も上手くいく保証はどこにもないのです。

また、いわゆるアフィリエイトなど、他人を紹介することで、紹介料などの収益が得られる仕組みを利用している人であれば、その人に収益がもたらされる情報ばかりを説明するかも知れません。

職場の関係だからといって必ずしも客観的で中立なアドバイスをしてくれるとは限らないのです。この点は、職場の人間関係、特に先輩・後輩の縦の関係が強い消防士ならではの注意点だといえるでしょう。

▼第三者の立場からアドバイスしてくれるプロとは

投資の相談は、幅広い投資知識を持ち、客観的な立場からアドバイスをしてくれる投資のプロにする方がいいでしょう。

例えば、FP(ファイナンシャル・プランナー)や、IFA(独立系フィナンシャル・アドバイザー)などが、投資の相談相手としては最適です。なお、FPとIFAの違いですが、FPは具体的な投資商品の仲介ができないのに対して、IFAは投資商品の仲介ができる点です。

専門知識と客観性を持ったプロにアドバイスをもらうことで、偏った意見に左右されるリスクが低減できるはずです。